電力量料金単価や燃料費等調整額とは?電気料金の内訳を分かりやすく解説

電力量料金単価や燃料費調整額とは?電気料金の内訳を解説!

「電力量料金単価とは?」
「燃料費等調整額とは?」
「電力料金はどう決まる?」

新しい電力プランを探していると、「電力量料金単価」や「燃料費等調整額」などの言葉がわからず、困ってしまいますよね。

電力量料金単価は、1kWの電力を1時間使用した際の電力量「1kWh(キロワットアワー)」の基本単位です。

燃料費等調整額は原油・LNG・石炭の燃料価格の変動を、毎月の電気量料金に反映するための価格です。

この記事では、電力料金を決める電力量料金単価や燃料費等調整額について解説します。

基本料金や、3段階料金制度についても詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。

電気代は基本料金と電力量料金と再エネ賦課金で決まる

電気代は基本料金と電力量料金と再エネ賦課金で決まる

電気料金は、主に「基本料金」「電力量料金」「再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)」の三つの価格で構成されています。

電気料金の内訳詳細
基本料金・基本料金はプランや電力会社でよって定められている固定料金のこと
・電力量料金のように変動はせず毎月定額
・関西電力、中国電力、四国電力、沖縄電力は基本料金の代わりに「最低料金」
電力量料金・電気を使用するほどに値段があがる料金
・①電力量料金単価(kW)× 使用料(kWh)を計算
・②燃料費等調整単価(プラスorマイナス)×使用料(kWh)を計算
・①+②の合算が電力量料金
再エネ賦課金・太陽光、風力発電などを普及するために、電気料金を全員で負担
・経済産業大臣によって決められて1年分の電気料金に自動適用される

これら基本的な内訳とあわせて、独自燃調や容量拠出金によって値段が前後するわ。

電力会社によって項目の使い方は変わるけど、まずは3つの内訳を把握するのがおすすめよ!

「基本料金」「電力量料金」「再エネ賦課金」の3つの料金について、順番に解説します。

基本料金の内訳と算出方法

基本料金の内訳と算出方法

基本料金とは、電力会社が独自で定めた固定料金であり、電力会社や電力プランによって変動します。

基本料金は東京電力に代表されるアンペア制と、関西電力に代表される最低料金制の2つに大別できます。

  • 契約アンペア数で料金が決まる「アンペア制」
  • 使用量にかかわらず一定額を払う「最低料金制」

アンペア制と最低料金制の違いについて解説します。

契約アンペア数で料金が決まる「アンペア制」

アンペア制による基本料金は、電力会社で契約したアンペア数(10~60A)に応じて決まります。

アンペア制は、北海道電力、東北電力、東京電力、北陸電力、中部電力、九州電力で導入されており、これら電力会社の従量電灯プランに該当しています。

北海道電力
アンペア数
基本料金
10A402.60円
15A603.90円
20A805.20円
30A1,207.80円
40A1,610.40円
50A2,013.00円
60A2,415.60円
東北電力
アンペア数
基本料金
10A314.60円
15A499.40円
20A684.20円
30A1,053.80円
40A1,423.40円
50A1,793.00円
60A2,162.60円
東京電力
アンペア
基本料金
10A311.75円
15A467.63円
20A623.50円
30A935.25円
40A1,247.00円
50A1,558.75円
60A1,870.50円
北陸電力
アンペア
基本料金
10A302.50円
15A453.75円
20A605.00円
30A907.50円
40A1,210.00円
50A1,512.50円
60A1,815.00円
中部電力
アンペア
基本料金
10A321.14円
15A481.71円
20A642.28円
30A963.42円
40A1,284.56円
50A1,605.70円
60A1,926.84円
九州電力
アンペア
基本料金
10A316.24円
15A474.36円
20A632.48円
30A948.72円
40A1,264.96円
50A1,581.20円
60A1,897.44円

どの電力会社であっても、アンペア数に比例して基本料金が上昇します。

契約アンペア数の目安としては、1人暮らしで30A、2人以上の場合は40A~50Aほどです。

どの電力会社であっても、契約アンペア数が変更できるという点は覚えておくと良いでしょう。

使用量にかかわらず一定額を払う「最低料金制」

最低料金制は、使用量に関わらず一定金額を支払う形態です。

アンペア制のサービスと比べると、低アンペア数と比べると料金が高く、高アンペア数と比べると安くなっています。

最低料金制を採用しているのは、関西電力、中国電力、四国電力、沖縄電力の4社です。

契約形態最低料金電力量最低料金
関西電力
従量電灯A
最初の
15kWhまで
522.58円
中国電力
従量電灯A
最初の
15kWまで
687.00円
四国電力
従量電灯A
最初の
11kWまで
666.89円
沖縄電力
従量電灯
最初の
10kWまで
643.05円

新電力会社は、その地域がアンペア制ならアンペア制。

最低料金制なら最低料金制と、エリアの仕組みに準ずるプランで設定されることが多いね。

基本料金が必要な理由は?

基本料金や最低料金が設定される理由は、一言で言うと電気を安定供給するためです。

電気を安定して供給するためには、送電設備や変電設備の点検、電柱の設置、電力系統のリアルタイム監視など、さまざまなコストがかかります。

これら、維持管理に必要な料金を平等に負担する仕組みとして、基本料金が活用されているわけです。

電力量料金の内訳と算出方法

電力量料金の内訳と算出方法

電力量料金は、使用した電力量に応じて発生する料金です。

使用した電力量に応じて料金が上昇するのは言わずもがなですが、実際にかかる費用の内訳は大きく2つに分かれています。

  • 電力量料金単価で決定される料金
  • 燃料費等調整単価で決定される料金

ここでは、それぞれの料金について詳しく解説していきます。

電力量料金単価で決定される料金

電力量料金単価とは、1kWの電力を1時間使用した際に発生する料金単価のことです。

例えば、電力量料金単価が30円で1ヶ月に200kWh利用する場合は、ここに該当する料金だけで6,000円の費用がかかります。

実際の電気代としては、基本料金や燃料調整費等調整額、再エネ賦課金などが追加でかかるというイメージです。

電力量料金単価の目安

電力量料金単価は、全国家庭電気製品公正取引協議会が示す「新電力料金目安単価」で提示されており、基本的に31円(税込み)ほどと決まっています。

この金額を目安に、各電力会社で個別に値段を決定しています。

電力量料金単価は各電力会社ごとに決められていますが、多くの場合は三段階料金制度が採用されています。

三段階料金制度は、使用する電力量に応じて3つの電力量料金単価が設定されている制度です。

三段階料金制度をグラフで解説

例えば大手電力会社の場合は、以下のように料金が設定されています。

使用量北海道電力
1~120kWh
(1段階)
35.35円
121~300kWh
(2段階)
41.64円
301kWh~
(3段階)
45.36円
※従量電灯Bの料金。
東北エリア東北電力
1~120kWh
(1段階)
29.62円
121~300kWh
(2段階)
36.37円
301kWh~
(3段階)
40.32円
※従量電灯Bの料金。
関東エリア東京電力
1~120kWh
(1段階)
29.80円
121~300kWh
(2段階)
36.40円
301kWh~
(3段階)
40.49円
※従量電灯Bの料金。
中部エリア中部電力
1~120kWh
(1段階)
21.20円
121~300kWh
(2段階)
25.67円
301kWh~
(3段階)
28.62円
※従量電灯Bの料金。
北陸エリア北陸電力
1~120kWh
(1段階)
30.86円
121~300kWh
(2段階)
34.75円
301kWh~
(3段階)
36.46円
※従量電灯Bの料金。
関西エリア関西電力
1~15kWh
(最低料金)
522.58円
16~120kWh
(1段階)
20.21円
121~300kWh
(2段階)
25.61円
301kWh~
(3段階)
28.59円
※従量電灯Aの料金。
中国エリア中国エリア
1~15kWh
(最低料金)
759.68円
16~120kWh
(1段階)
32.75円
121~300kWh
(2段階)
39.43円
301kWh~
(3段階)
41.55円
※従量電灯Aの料金。
四国エリア四国電力
1~15kWh
(最低料金)
666.89円
16~120kWh
(1段階)
30.65円
121~300kWh
(2段階)
37.27円
301kWh~
(3段階)
40.78円
※従量電灯Aの料金。
九州エリア九州電力
1~120kWh
(1段階)
18.37円
121~300kWh
(2段階)
23.97円
301kWh~
(3段階)
26.97円
※従量電灯Bの料金。
沖縄エリア沖縄電力
1~10kWh
(最低料金)
643.05円
11~120kWh
(1段階)
40.20円
121~300kWh
(2段階)
45.74円
301kWh~
(3段階)
47.72円
※従量電灯Aの料金。

一方、2016年4月から開始された新電力会社では、電力量料金が固定のサービスや毎日変動するサービスも多くあります。

例えば、新電力会社の中でも人気のLooopでんきは、30分おきに電力量料金が異なるサービスで、安い時間帯に電気をまとめて使うことでお得に使える仕組みになっています。

このようにサービスによっても電力量料金の仕組みが異なるので、その電力会社がどういった電力量料金単価を採用しているかを確認するすることが重要です。

三段階料金制度が設定されている背景

三段階料金制度は1973年の第四次中東戦争のエネルギー資源問題をきっかけに、1974年から始まった制度です。

当時の原油価格高騰により「省エネ化」をより推進する必要に迫られた結果、電気を使うほど電気料金が高くなる仕組みが導入されました。現在もその制度がそのまま採用されています。

燃料費等調整単価で決定される料金

燃料費等調整単価とは、電気を発電する原料となる原油・LNG・石炭の燃料価格の変動(増減)を、毎月の電気量料金に反映するための価格です。

電力量料金単価と同じく1kW単位で発生する料金で、燃料価格が安くなった場合は電力量料金から割引され、高くなった場合は電力量料金に追加されます。

発電のための燃燃費が高騰したにも関わらず同じ電気料金だと、発電所への負担がかなり大きくなります。

その負担を軽減するために、燃料費等調整価格でバランスをとっているわけだね。

燃料費等調整単価は、平均燃料調整価格と基準燃料価格の2つの基準で決定されます。

▼燃料費等調整単価の計算方法

  • 燃料費等調整単価=(平均燃料調整価格 – 基準燃料価格) × 基準価格/1,000

平均燃料調整価格は、原油・LNG・石炭の3ヶ月間の貿易統計価格から算出される数値で、毎月料金が異なります。

一方基準燃料価格は、各電力会社が想定する燃料価格をもとに決定された料金です。

想定に近い場合は、燃料費等調整価格を支払う必要がなく、想定よりもかなり高い場合は追加で料金が発生、想定よりもかなり低い場合は料金から減算という形で決定されます。

燃料費調整価格と燃料費等調整単価の違いについて

細かな部分ではありますが、「等」があるかないかの違いは市場価格が関与するかどうかです。

電力会社は、自社で電気を賄っているサービス、もしくは電気の卸売場(日本卸電力取引所)で電気を購入しているサービスの2つに大別されます。

自社で発電している場合は、市場価格を考慮しないため「燃料費調整単価」と呼び、購入している場合は「燃料費等調整単価」と呼ばれます。

なお、直近の燃料調整費価格を見てみると、2022年のロシアのウクライナ侵攻によって燃料価格が高騰し、大幅に増大してしまいました。

年月東京電力の
燃料費調整額(円)
2021年12月-1.09
2022年1月-0.53
2022年2月0.74
2022年3月1.83
2022年4月2.27
2022年5月2.74
2022年6月2.97
2022年7月4.15
2022年8月5.10
2022年9月6.50
2022年10月8.07
2022年11月9.72
2022年12月11.92
2022年1月12.99
2023年2月13.04
6.04
※以降、激変緩和措置反映
2023年3月11.69
4.69
2023年4月10.25
3.25
2023年5月9.21
2.21
2023年6月-1.78
-8.78
2024年東京電力燃料費調整額

今後も世界的な出来事があると燃料が高騰する可能性があるので、その点は注意しておくと良いでしょう。

燃料費調整単価の計算方法は覚える必要はないけど…

計算結果である、燃料費調整額にはよくよく注目しておいた方が良いと言えるわね。

電力量料金の計算方法

電力量料金は、電力量料金単価と燃料調整単価を、それぞれ使用量(kWh)で掛け算して合算した金額です。

▼電力量料金の計算方法

  • 電力量料金=(電力量料金単価×使用量 kWh)+(燃料費調整単価×使用料 kWh)

考え方として、電力量料金単価に使った分を掛け算したのが電力料金で、そこに燃調費の調整が入っているイメージです。

例えば、燃調費が+になると電力量料金は上がりますし、燃調費がマイナスであれば電力量料金は下がります。

整理すると、電気料金を構成する一部が「電力量料金」よ。

各社によって違いはあるけど、基本的な電気代を計算するには、電力量料金に基本料金と再エネ賦課金を合算すれば計算できるわね。

再生可能エネルギー発電促進賦課金の内訳と算出方法

再生可能エネルギー発電促進賦課金の内訳と算出方法

再生可能エネルギー発電促進賦課金とは、今後の日本国内で、太陽光発電や風力発電、水力発電などの再生可能エネルギーをより広く普及させるための料金です。

分かりやすく言うと、再エネを活用した電力開発の費用を補助してくださいという名目の料金と言えます。

再エネ賦課金は、将来の発電技術への投資とも言えるね。

水力発電や風力発電がメインになってくると、電気代も下がっていくことが予想されるよ。

再エネ賦課金は、電力量料金と同じく1kW単位でかかる料金です。

2024年度の料金は3.49円で、この料金は毎年度の開始月(3月下旬ごろ)に決定されます。

3月下旬ごろに経済産業大臣が決定し、以降12ヶ月は同じ料金が適用されるので、非常に分かりやすいのが特徴です。

例えば、その月の電気使用量が100kWhなら、再エネ賦課金は349円です。

年度ごとに料金が変わるので、その点だけは把握しておきましょう。

一部の新電力で必要な電源調達調整費や容量拠出金について

一部の新電力で必要な電源調達調整費や容量拠出金について

一部の新電力会社では、上記で紹介した3つの料金以外に、「電源調達調整費」や「容量拠出金」といった料金がかかる場合があります。

それぞれの料金をまとめると、以下の通りです。

  • 電源調達調整費:日本卸電力取引所(JEPX)の価格に応じて料金を調整するための費用
  • 容量拠出金:電力供給事業者が電力広域的運営推進機関に支払う設備費用

電源調達調整費については、燃料費等調整額とほぼ同義です。

違いは燃料の価格を反映しているか、あるいは日本卸電力取引所の市場価格を反映しているかですが、いずれにしてもこの2つは比例関係なので、ほぼ同義と考えて良いでしょう。

市場連動型の新電力では、燃料費等調整額ではなく電源調達調整費が採用されることが多いです。

場合によっては、両方請求されることもあるので注意しましょう。

次に容量拠出金についてですが、容量拠出金は本来、利用者ではなく電力供給事業者が電力広域的運営推進機関に支払う料金でした。

しかし一部の新電力会社では、サービスを継続して提供するための資金として、ユーザーに負担を求めている企業もあります。

2024年以降は、容量拠出金を請求する企業が増えると予想されているので、事前にどういった金額なのか把握しておきましょう。

容量拠出金の金額は、電力会社によって異なります。

請求するかしないか、いくらい請求するか、全て企業によって異なるので、必ず確認しておきましょう。

電力量料金についてのよくある質問

5人家族の電気代でよくある質問

電力量料金単価や燃料費調整額について、よくある質問にお答えします。

電力量料金単価とは?
電力量料金単価は、1kWの電力を1時間使用した際の電力量「1kWh(キロワットアワー)を計算する基本単位です。
電力量料金は、電力量料金単価×使用電力量で計算可能で、これに燃料調整費単価を加算減算した金額になります。
>> 電力量料金単価を詳しく見る
燃料費調整額とは?
燃料費調整額は、電気を作る原料となる原油・LNG・石炭の燃料価格仕入れの増減を、電気量料金に反映するための価格です。
燃料費調整額は3ヶ月間の貿易統計価格をベースに計算されており、計算結果がマイナスなら電気代は割引、プラスなら電気代は値上がりしてしまいます。
>> 燃料費調整額を詳しく見る
基本料金とは?
基本料金は、各電力会社やプランで定められた固定料金です。
東京電力を代表する「アンペア制」と、関西電力を代表する「最低料金制」の2種類の方法があり、基本的にこのどちらかに分対されます。
>> 基本料金を詳しく見る

まとめ

電力量料金単価や燃料費調整額について、おさらいします。

  • 電気料金の三つの主軸は「基本料金」「電力量料金」「再生可能エネルギー発電促進賦課金」
  • 基本料金は毎月固定で電力会社やプランごとに設定される。
  • 基本料金にはアンペア制と最低料金制がある
  • 電力量料金は、毎月の使用量に応じて金額が変動する
  • 電力量料金は、電力量料金単価に燃料費調整額を加算減算して計算

新電力への乗り換えなどを検討しているとき、電力量料金・燃料費調整額・再エネ賦課金など馴染のない言葉が多く、乗り換え自体が面倒になってしまうかもしれません。

ただ、これらの一つ一つの用語の意味や関連性を理解しておくと、要点さえ押さえればそこまで難しいものでもないことに気づくはずです。

用語の意味を理解していけば、今の電気代がどのように決まっているのか、把握できる点も良いよね。

この記事をブックマークしておき、用語の意味で迷ってしまったときの備忘録として活用してください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。