飲食店舗の電気代を節約する方法は?

飲食店 電気代節約方法

「飲食店舗の電気代を節約する方法は?」
「飲食店舗の電気代の平均は?」
「なぜ飲食店舗は電気代が高い?」

飲食店は業務用冷蔵庫や照明設備、空調などの電気製品が多いので、他の店舗と比べると電気代が高くなりがちです。

昨今の電気代値上げの影響も大きく、電気代を抑える方法を知りたい人も多いでしょう。

飲食店舗の電気代は空調や照明、厨房などを見直すことで節約できます。

店舗運営において光熱費の削減は大きな課題ですので、積極的に節電していきましょう。

本記事では、飲食店舗の電気代を節約する方法について詳しく解説します。

飲食店舗の平均的な光熱費や節電する際の注意点も解説しているので、ぜひ参考にしてください。

店舗の電気代を節約する方法(空調)

空調で店舗の電気代を節約する方法

店舗の空調で電気代を節約する方法は7つです。

  • 空調制御システムを導入する
  • エアコンのフィルターを掃除する
  • 室外機の設置場所を変える
  • エアコンの省エネモードを活用する
  • プロペラファンなどで室内の空気を循環させる
  • 電子ブレーカーを導入する
  • エアコンの温度設定を見直す

詳しく解説します。

空調制御システムを導入する

空調制御システムの導入により、電気代の節約ができます。

空調制御システムとは

空調制御システムとは、空調設備を制御・管理し、省エネにつなげるためのシステムです。

空調設備に温度センサーと制御装置を取り付けて、センサーから取得した電力使用量などのデータを解析し、空調の温度や湿度をコントロールします。

空調制御システムが常に最適な空調環境を保つことで、無駄な電力が抑えられ、電気代の節約ができます。

また節電だけでなく、CO2排出量の削減や、空調機器を手動で操作する手間がかからないというメリットもあります。

エアコンのフィルターを掃除する

エアコンのフィルターを掃除すると、エアコン効率が上がるので、電気代が節約できます。

エアコンのフィルターは空気を吸い込む際に、部屋のホコリも一緒に吸い込みます。

その吸い込んだホコリで目詰まりしてしまうと、空気の通り道が塞がれて、風量が落ちてしまうわ。

風量が落ちるとフルパワーで稼働しなければならないため、より多くの電力が必要です。

環境省によると、2週間に1回程度のフィルター掃除で、冷房時なら約4%、暖房時は約6%の電力を削減できるとされています。

室外機の設置場所を変える

室外機の設置場所を変えると、節電効果が増す可能性があります。

室外機は部屋の熱い空気を排出する役割があります。

その室外機が直射日光に当たっていたり、空気の出入り口が塞がれていたりすると、熱を排出できません。

シェードを付けたり、室外機の周りの障害物を移動したりして、室外機の機能を邪魔しないようにしよう。

熱を排出できないと、部屋の温度が下がらず、余計な電力がかかってしまうので、電気代が高くなります。

エアコンの省エネモードを活用する

最近のエアコンについている「省エネモード」は電気代の節約に効果的です。

省エネモードとは

省エネモードとは、エアコンのセンサーが室内の温度や湿度を読み取り、メーカーが定めた必要最低限の電力で自動運転する機能です。

エアコンは起動から設定温度に到達するまで、もっとも多くの電力を消費します。

省エネモードは一気に部屋の温度を下げ、設定温度に到達してからは弱運転モードに自動で切り替わる機能です。

それにより、手動で風量や温度を切り替えるよりも、電力を消費できます。

最近ではAI搭載で、人の在・不在を感知して自動に電源をオンオフしたり、好みの運転を記憶・学習したりするものも出ているよ。

プロペラファンなどで室内の空気を循環させる

店舗のプロペラファン

プロペラファンやサーキュレーターを使って、室内の空気を循環させることで、快適な温度に保てます。

冷たい空気は部屋の下に溜まるので、部屋の温度にムラができがちです。

プロペラファンで空気を循環させて、温度ムラをなくすことで、温度設定を下げなくても快適と感じられます。

プロペラファンの導入で、消費電力は20%に抑えられると言われているわ。

プロペラファンやサーキュレーターはそれ自体の電気代が低いので、付けっぱなしにしてもエアコンほどの電気代はかかりません。

なお、空間が広い場合はプロペラファン、キッチンなど局所的に風を贈りたい場合はサーキュレーターが効率的です。

電子ブレーカーを導入する

電子ブレーカーの導入で、契約容量を大きくせずに使用する電力に合わせてプラン契約ができます。

電子ブレーカーとは

電子ブレーカーとは、電力の使い過ぎを検知して電流を遮断する「ブレーカー」の機能を、CPUによって電子的に制御する装置です。
CPUの搭載によって電流量を正確に計測できるため、遮断のタイミングを適切に捉えられるのが特徴です。

一般的なブレーカーではすぐにブレーカーが落ちてしまうため、電力容量を大きくするプランで契約しなければなりません。

注意

しかし、電子ブレーカーは自動で電流を制御してくれるので、今までの容量プランのままで使用できる可能性があります。

使う量に合わせたプランで契約できるので、無駄な電気代を払う必要がありません。

エアコンの温度設定を見直す

エアコンの設定温度を見直すと、電気代を抑えられる可能性があります。

設定温度が低すぎると、その温度まで室温を冷やさなければならないので、大きな電力が必要です。

夏の冷房時の温度設定を1℃高くすると約13%の消費電力の削減、冬の暖房時の温度設定を1℃低くすると約10%の削減になります。

ただし、暑すぎる・寒すぎるとお客様に負担がかかってしまうよ。

プロペラファンやサーキュレーターなどで工夫しよう。

室温と外気温の差が少ないほど、電力の消費が抑えられ、電気代が節約できます。

店舗の電気代を節約する方法(照明)

照明で店舗の電気代を節約する方法

店舗の照明で電気代を節約する方法は7つです。

  • 電球をLEDに交換する
  • 使っていない部屋の電気をこまめに消す

詳しく解説します。

電球をLEDに交換する

店舗のLED電球

LED照明は消費電力が少なく、電気代を節約できます。

白熱電球に比べてLED電球は電力の1/6ほどの削減が可能です。

同等の明るさの電球を比較すると、白熱電球が36Wなのに対し、LED電球は6.4Wです。

1年間の電気代
白熱電球約2,799円
(0.036kWh × 8時間 × 30日 × 12か月 × 27円/kWh)
LED電球約498円
(0.0064kWh × 8時間 × 30日 × 12か月 × 27円/kWh)

1日に8時間点灯した場合、1年間で2,300円節約できる計算です。

飲食店舗の電球をすべて交換すると、影響はさらに大きくなります。

蛍光灯の場合は消費電力が半分ほどになるわよ。

使っていない部屋の電気をこまめに消す

使っていない場所の電気はこまめに消して、電気を節約します。

ランチとディナーの間の時間帯など、お客様がいない時間帯は特に必要最低限の照明にしておきましょう。

換気扇や空調も切っておくと、節電効果はより高まるよ。

トイレなどに「使い終わったら電気を消してください」などと張り紙をすると、お客様にも意識してもらうことができます。

人感センサーを導入すると、人がいない時間帯は自動で電気が消えるので、より節電につながります。

店舗の電気代を節約する方法(厨房)

厨房で店舗の電気代を節約する方法

店舗の厨房で電気代を節約する方法は7つです。

  • 冷蔵庫・冷凍庫にビニールカーテンを設置する
  • 冷蔵庫・冷凍庫の冷気が漏れにくい使い方をする

詳しく解説します。

冷蔵庫・冷凍庫にビニールカーテンを設置する

冷蔵庫・冷凍庫にビニールカーテンを設置すると、食品を出し入れする際に冷気が逃げにくくなります。

冷蔵庫は開けるたびに、外の空気が入ってくるので、中の温度が上がってしまいます。

温度が上がると、庫内の温度を再び下げるために多くの電力が必要です。

庫内の臭いを吸収してくれるものもあるので、臭い対策としても効果があるわよ。

特に開け閉めの頻度が高い冷蔵庫や冷凍庫は、ビニールカーテンの導入を検討しましょう。

冷蔵庫・冷凍庫の冷気が漏れにくい使い方をする

庫内の温度を保てるよう、冷気の漏れにくい使い方が重要です。

たとえば、冷蔵庫・冷凍庫の開け閉めは必要最低限に抑えましょう。

扉を開けている時間が長ければ長いほど、冷気が逃げてしまいます。

庫内を常に整理整頓しておくと、取り出したいものをすぐに取り出せて効率的だよ。

また、冷蔵庫には食材を詰め過ぎないようにすると、冷気の循環がスムーズになります。

一方、冷凍庫はお互いに保冷剤代わりになるので、詰めた方が庫内の温度を保ちやすくなります。

冷蔵庫や冷凍庫の使い方を工夫して、できるだけ冷気を逃がさない工夫をしましょう。

店舗の電気代を節約する方法(店舗全体)

店舗全体で電気代を節約する方法

店舗の空調で電気代を節約する方法は7つです。

  • 就業時間を見直す
  • 電力会社を乗り換える
  • 節電性能のよい最新機器に入れ替える

詳しく解説します。

就業時間を見直す

就業時間が短くなると、光熱費も抑えられます。

スタッフやお客様の人数が少なくなれば、照明や空調、換気扇なども必要最低限の稼働で済みます。

業務を効率化して、できるだけ残業時間を減らそう。

オフィスにスタッフが滞在する時間を減らして、いない時間帯は使わない電気をすべて消すことで、電気代が節約できます。

電力会社を乗り換える

電力会社を乗り換えることで、大幅に電気代を節約できる可能性があります。

店舗の電気の使い方によりフィットする電力プランへの乗り換えを検討しましょう。

電力市場の変動や新しい電力プランの登場も常にチェックしておくことが大切よ。

また、使う設備や電力を多く使用する時間帯によって、適切な電力会社やプランが異なります。

ガスなどと組み合わせて契約すると、セット割引で安くなるケースもあります。

電力会社ごとにサービスやプランを比較しながら、最適な会社を選ぶようにしましょう。

節電性能のよい最新機器に入れ替える

最新機種の家電製品は、より高性能の省エネ機能が付いています。

10年以上使っている場合は、消費電力を抑えるためにも入れ替えを検討してみましょう。

経済産業省の調査によると、近年の家電製品は効率が大幅に向上していることが分かっています。

削減率2019年
年間消費電力量
2009年
年間消費電力量
冷蔵庫約40~47%減293kWh490~550kWh
照明器具約86%減15kWh108kWh
エアコン約17%減811kWh978kWh

エアコンや冷蔵庫のサイズによっても異なりますが、どのサイズでも性能は向上傾向です。

また古い電化製品は新品の時よりも効率が低下しますので、10年を目途に買い替えましょう。

店舗の電気代は高い

店舗の電気代は高い

一般的に飲食店は他の店舗と比べて、電気代が高くなります。

飲食店舗が他の店舗よりも電気代が高くなる理由は3つです。

  • 大型の空調設備を導入している
  • 業務用の冷蔵庫を導入している
  • 営業時間が長い

詳しく解説します。

理由①大型の空調設備を導入している

お客様が快適に過ごせるよう、大型の空調設備を導入している店舗も少なくありません。

飲食店は調理の際に火を使うこともあり、店舗内の温度が上がりやすくなります。

特に焼き肉店や焼鳥店などは、室温が高くなりがちだよ。

また煙やにおいが店内に残らないよう、換気扇も常に回しておかなければなりません。

エアコンや換気扇だけでなく、業務用ダクトなどの換気システムも稼働させなければならないため、電気代が高くなります。

理由②業務用の冷蔵庫を導入している

たくさんの食材を冷やしておくために、業務用の冷蔵庫は必要不可欠です。

家庭用冷蔵庫だと大きくても700Lほどの容量ですが、業務用のものは大きい物で1,600L以上の容量があります。

それだけ大きな冷蔵庫内を冷やすのだから、当然その分電力も必要になるわ。

店舗によっては食材を冷やす冷蔵庫以外にも、ジョッキを冷やすための冷蔵庫やワインセラーなども必要です。

複数の冷蔵庫や冷凍庫を導入すれば、その分電気代は高くなります。

理由③営業時間が長い

営業時間が長い飲食店舗は、その間エアコンや換気扇、照明を付けていなければなりません。

ランチやディナーの営業を含め、なかには朝方まで営業している店舗もあります。

店内で飲食をすると滞在時間が長くなるので、どうしてもエアコンや照明は付けっぱなしにしなければならないわ。

反対にお客様の滞在時間が短い店舗は、その分人の出入りが多くなります。

人の出入りが増えると店内の温度が変わりやすいので、エアコンも常にフル稼働させておかなければなりません。

その結果、エアコンや照明器具を長時間使用しなければならないので、電気代は高くなります。

飲食店舗の平均的な光熱水費

飲食店舗の平均的な光熱水費

飲食店舗の光熱水費で押さえておきたいポイントは2つです。

  • 売上の3~5%が一般的
  • 光熱水費の50%以上が厨房のガス・電気

詳しく解説します。

売上の3~5%が一般的

飲食店舗の光熱水費は、売上金額の3~5%程度が一般的です。

坪売上20万円程度の店舗であれば、ひと月あたりの水道光熱費の平均は6,000円~10,000円になります。

坪売上とは

坪売上とは、一坪あたりの売り上げを示した数値です。

「坪売上」⁼「売上高」÷「店舗面積」で求められます。

光熱水費は業種や店舗の規模によっても変わってきます。

たとえば、ラーメン屋などは常にガスを使い続けるので、光熱費は高くなりがちです。

光熱水費の50%以上が厨房のガス・電気

飲食店舗の光熱水費のほとんどが厨房エネルギーで、厨房で使用するガスや電気が占めています。

居酒屋とファストフードで見てみると、客室の照明や空調はそれほど大きな値ではありません。

居酒屋ファストフード
厨房ガス・電気53%55%
客室空調20%14%
客室照明20%12%
看板照明7%19%

厨房のガスや電気の料金を抑えると、光熱水費の節約ができます。

店舗の電気代の節約に関する注意点

店舗の電気代の節約に関する注意点

店舗の電気代の節約に関する注意点は2つです。

  • 売上の3~5%が一般的
  • 光熱水費の50%以上が厨房のガス・電気

詳しく解説します。

客や取引先に負担をかけない

快適な空間を提供できなくなると、顧客離れの原因になります。

お客様だけでなく、取引先にも良い印象は与えないでしょう。

暑すぎたり寒すぎたりすると、お客様は店舗に長居したいとは思わないわ。

エアコンの温度設定の見直しも大切ですが、やりすぎはかえって売上の妨げになります。

従業員に負担をかけない

お客様や取引先だけでなく、従業員にも負担をかけないようにしましょう。

お客様がいない時間帯は最低限の電力消費に抑えるために、エアコンや照明を落としがちです。

しかし、労働環境が整っていないと、従業員は十分に力を発揮できません。

暑すぎる・寒すぎる職場では、業務効率が落ちてしまうわ。

節電も大切ですが、店舗全体の効率が最大化できなければ本末転倒です。

従業員に負担をかけない範囲でも節電を心がけましょう。

店舗の電気代の節約に関するよくある質問

よくある質問

店舗の電気代の節約に関するよくある質問に回答します。

空調で店舗の電気代を節約する方法は?
空調で店舗の電気代を節約する主な方法は7つです。
・空調制御システムの導入
・エアコンフィルターの掃除
・室外機の設置場所の検討
・エアコンの省エネモードを使う
・部屋の空気を循環させる
・電子ブレーカーの導入
・エアコン設定温度の調整

お客様や従業員に負担のかからない程度で、空調を調整しましょう。
>> 空調で店舗の電気代を節約する方法を詳しく見る
照明で店舗の電気代を節約する方法は?
照明で店舗の電気代を節約する主な方法は2つです。
・電球をLEDに変更する
・使っていない部屋の電気をこまめに消す

特に電球をLEDに交換すると、節電効果は高まります。
>> 照明で店舗の電気代を節約する方法を詳しく見る
飲食店の電気代は平均いくらですか?
飲食店の電気代は売上の3~5%が一般的です。たとえば、1ヶ月の売上が100万円の店舗であれば、3~5万円程度が適正です。

まとめ

最後に、店舗の電気代を節約する方法について、おさらいします。

  • 店舗の電気代は空調・照明・厨房で節約できる
  • 電力会社の乗り換えや節電性能のよい最新機器への入れ替えも節電に有効
  • 飲食店は他の店舗よりも電気代が高くなりがち
  • 飲食店の平均的な光熱水費は売上の3~5%が目安
  • 節電はお客様や従業員に負担をかけない程度に行なう

店舗運営において、光熱水費の削減は大きな課題です。

特に飲食店の場合、光熱水費の約80%が電気代です。

節電でコストを削減できれば、店舗運営の負担は下がり、売上を伸ばせるでしょう。

空調や照明での節電効果は大きいけど、お客様や従業員も巻き込むので、やれることには限界もあるよ。

店舗内で節電に取り組むだけでなく、自分たちの店舗に合った電力プランを探すことも重要です。

2016年の電力の自由化に伴い、多くの新電力会社が参入し、大手電力会社よりも安い料金プランを提供しているところも増えています

使用する電気量や使用時間が合ったプランを探して、少しでも電気代を抑えていきましょう。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。